年度毎の消費支出

 早期退職後に生活費はいくら必要なのかということを見積もるのは大変です。一般的には経済雑誌のほとんどに、「老後に豊かな生活をするためには、一か月30万円が必要」と書かれています。しかしこういった雑誌の書き方は、「実際には、そういった額を用意することができない人が多い」という事を表しているようにも思います。

 しかも、そもそも「豊かな生活とは何か」という部分が実に曖昧。さらに30万円の内訳をみると、交際費が数万とか、交通費が数万とか、実態とは違うのではないかと思える数値が無理やり設定されていることが多いです。

 経済雑誌の記事の場合は、だから老後の費用は足りなくなる恐れがあるというように話が展開し、そこでより効率的な資産運用をする必要があるという展開になり、最終的に投資信託等の購入を勧められるという結論になっていることが多いです。

 従って、「自分にとって豊かな生活とは何か」というビジョンがない場合、そういった記事の内容に惑わされることになります。ではどうしたらよいかと言えば、先ず現実の実態把握が必要だということです。要するに早期退職半年ぐらい前から家計簿をつける必要があるという事です。

 家計簿をつけてみて、一か月の消費支出が40万を越えているようなら、老後の豊かな生活に30万が必要という記事に納得できると思います。逆に家計簿をつけたら、消費支出は25万だったということが分かれば、老後の消費支出は20万円以内で生活できる可能性が大きいです。

 当然ながら早期退職後の家計支出は、退職後の解放感で散財しない限りフルタイム勤務時代より減ることが多いです。

 というわけで、実際の消費支出は各家庭で家計簿をつけないと分からないので、ここではあえて統計的な数値を使って年度ごとの支出を把握してみようと思います。

  ネットで「年齢別 消費支出」という語句で検索すると「2015年の二人以上世帯家計収支」の数値が見つかりましたので、ここに掲載されている数値を参考にします。

 ここに掲載されている数値に寄れば、50代の消費支出は一か月34万円で60代は29万、70代以降は24万となっています。私の感覚では多すぎるなと思いますが、統計ですから間違いではないと思います。しかしこの生活費で、仮に一か月25万としても、57歳で早期退職をして81歳までこの消費を続けたら、それだけで25×12×24=7200万円となります。

 という事は前ページの総収入の約8000万と比較すればすぐわかることですが、これ以外の税金やら保険料を支払っていくとすると、間違いなく家計は破綻します。

  あえて言えば57歳から健康寿命の71歳までは、家計支出は25万、71歳から81歳までの10年間は一か月20万と仮定すると

25×12×14+20×12×10=6600万という結果になり、これなら何とか持ちこたえるかもという気がします。

 というわけで早期退職をするというハンデがあるわけですから、その分生活費の節約を励行して、上記の57歳から71歳までは月25万、71歳から81歳までは月20万という数字で消費支出を設定したいと思います。