移動平均線

 株式の移動平均とは何か。株価はほぼ瞬間瞬間で動いています。その瞬間をすべて見極めて細かく見ていくのも良いのですが、グラフを見てある程度将来を予想しようと思ったら、むしろもう少し長い期間の平均的な動きを見た方がよいのでは、という発想に基づいたものだと解釈しています。

 例えば新聞の株価欄を見ると、始値、その日の高値、安値、そして終値という四つの値が書かれています。これは簡単に言えば、1日を通して高値と安値の間で株価が動いていたと言うことになります。であるならば。この日のその銘柄に対して万人が考えたおおよその評価値がこの値の範囲であると考えることが出来ます。

 後はこの値を時間で積分して、その平均値を求めればその日のおおよその平均価格が計算できます。積分なんて言う面倒な計算をしなくても、それこそ高値と安値を足して2で割っても、おおよその値は計算できます。

 こういった数値をグラフ化すれば、何らかの移動曲線が得られます。一般的に見ている株価チャートは基本的に1日が主体になっていますから、高値、安値、始値、終値の雰囲気を表すために、いわゆるローソク足という、真ん中が少し太くなったグラフで書かれていますが、それを平均化したものと考えればよいと思います。

 次にそういった平均値の求め方をもう少し過去にまで遡り、例えば過去5日間の平均、一ヶ月ぐらいの平均、三ヶ月ぐらいの平均といようなグラフを求めることが出来ます。

 そうやって求められたグラフは、過去の平均的なその株価に対する評価です。そこでこの過去の平均的な評価と現在の平均的な評価を見比べて、過去の評価よりも著しく高くなっている場合は買いすぎ(売るチャンス)、著しく低くなっている場合は売りすぎ(買いチャンス)と考えます。

 さらに言うと、現在の移動平均線が過去のグラフを下から抜くような場合、これをゴールデンクロスと呼び、絶好の買いチャンスと考えたりします。(逆はデッドクロスと呼びます)

 もし株価のグラフに何らかの意味があると考えるならば、こういった手法を駆使して相場で勝ち抜くことが出来ると考えている人は多いようで、この方法をチャート分析とかテクニカル分析と呼んでいます。(実際にはもっと複雑な計算をしてテクニカル分析を行っているはずです)

 私自身それほど詳しく勉強したわけではないので細かいことは分からないのですが、実際にこういった手法で利益を上げている人もいるのかなとは思っています。(というか現代の株取引はスーパーコンピューターでこれと似たような計算を行い、瞬時に取引を行っているようです)

 ただし様々な株式に関する実践記録を見ていると、この移動平均線による売買ではうまくいかない場合も多いようで、そういった場合を「だまし」と呼ぶこともあるようです。

 また過去に私はいくつかの掲示板で、移動平均線を算出する基準が、短期は5日、中期は13週、長期は26週で計算することが多いようだが、その数字の根拠は何かと聞いたとき、明確な答は無かったと記憶しています。(信用取引等の期間が影響しているというコメントは覚えています)

 というわけで、素人がグラフを見て、ちょこっと考えたぐらいで先のことが予想できれば、誰もが大金持ちになっているはずですが、現実はなかなかうまくいきません。

 そうすると、売買のタイミングより、銘柄選びに力を入れた方がよいのではと考える人も出てきます。つまり世の中にはどんな会社があって何を作っているのかということへの関心です。

 つまり現実の社会を見て、これから伸びそうな企業を探すことになるわけです。しかしここで気がつくのは、普通のサラリーマンが知っている会社名の数はせいぜい100社ぐらい?

 しかもそれぞれの会社がどのような製品を作っているのか、どんな仕事で利益を得ているのかと言うことまできちんと把握できるのは10社に満たないと思います。

 せいぜいがテレビのコマーシャルでよく聞く製品を作っている会社とか、近所に買い物に行ったとき利用するスーパーやコンビニの名前ぐらいで、自分がいかに世間を知らなかったのかと言うことにびっくりさせられます。

 その意味では、株式投資というのは、眉を潜める方もいますが、日本経済や身の回りの産業に関心を持つ良い機会だなと思えます。