投資信託購入前の注意点

 前ページまでの内容を理解すると、投資信託といえどもそう簡単に儲かるものではないと思えるのですが、それでも「うまくいけば」預貯金より資産が増える可能性はあります。(もちろん減ってしまう可能性もあります)

 そうなると人間の心理としては、どうしても良い方向に目が向いてしまい、自分だけは損しないだろうという勝手な心理が働き、負の側面は目をつぶってしまうように思います。

 最近はそういった儲かるに違いないという思いこみで投資をした人に対して、「損が生じることがあります」「リスクがあります」というようなことを、投資会社はかなりはっきりと言うようになったように思いますが、それでも欲に目ががくらんでしまう投資家がいることも事実のようです。

 というわけで、次にそのようなリスクを理解した上で、投資信託を購入しようと思っている方は、どんなことに気をつけたらよいのかを、またまた思いついた順にまとめてみようと思います。

・ 株式に投資するような投資信託は、相場全体が冷え切っている時は利益がほとんどでない

 ごく当たり前のことですが、投資信託の特徴に、不況にも強い銘柄に投資しますとか、配当が多い企業に投資します、将来性のある企業に投資しますと書いてあると、あたかもその投資信託だけが抜群のパフォーマンスを成し遂げるような錯覚をしてしまうことがあります。

 実際には、日本全体の景況感が相場全体に左右して、それに吊られるように個々の銘柄も動きますので、相場低迷時には、いくら資金を投入しても損ばっかりという状態が続きます。

 まるで砂地に水が浸み込むように投資資金が消えていくのを目の当たりにすると、精神的にかなり落ち込みます。もし投資資金の一部が生活資金だったりすると、さらに大きな問題に発展する可能性があります。

・ 投資信託運営会社は言い訳を用意している

 基準価額が下がったとき、運営者側は「全体の相場が低迷していますから、その影響を受けて・・・・」と言っていれば、責任は逃れることになります。

 つまり上がれば、この投資信託のパフォーマンスは素晴らしいものがあると宣伝できますし、下がったときは全体の景気に責任転嫁をすることが出来るということです。

 私は過去に一度だけ某大手証券会社のセミナーなるものに参加したことがあります。今後の日本経済や相場の見通しを解説するというセミナーでした。

 しかし、セミナーの最後の方では、「以上のような状況分析から、今はこのような投資信託が有利と思えます。今が買い時です」という勧誘を受けました。

 まだ投資初心者だった頃で、「なるほどそうか」と思ってわずかな金額を投資しましたが、その後その基準価額は下がる一方で、いつの間にか証券会社の店頭からその投資信託を推奨する宣伝も消えていきました。「なるほどなあ」と苦笑いしたことを覚えています。