貯蓄と投資

 当たり前ですが、貯蓄を長い目で見ることが出来ればそれなりのパフォーマンスを得ることが出来ます。しかし、若いときほど「短期でお金を増やしたい」と思う傾向が強いように思います。

 年齢と共に世の中の仕組みや経済の動きが少しずつ分かり、更に自分の人生の先行きも見えてくると、これ以上焦ってもしょうがないと逆にのんびり構えることが出来るような気もします。

 しかし定年にしろ、早期退職にしろ、それまでにあと5年とか10年という期間しか残されていないのに、このままだとどう考えても退職後の資産が足りない、となると気持ちが焦るはずです。

 そういった焦る気持ちを落ち着かせるためにも、これまで書いてきたように、家計簿を付け、将来のシミュレーションを行うことが必須だと思います。これをやらずに資産を増やすことだけを考えていると、それこそ退職時の資産が5000万でも1億円でも将来に不安を感じると思います。

 ということを前提にして、それでは短期間に資産を増やす方法はないのかと考えると、大多数の人が投資信託や株式投資といったものを考えると思いますので、これについて少しだけ私のこれまでの経験とそれについて思ったことを披露したいと思います。

 ただし前提になるのは

1.安易に増やす方法はない

2.一挙に増える可能性がある商品は、とんでもない損失を被る可能性も大きい

というごく当たり前の二点です。このことを前提にして、まず最初に投資商品としてよく取り上げられる投資信託と株式投資について、通常の貯蓄とのおおまかな違いをまとめておきます。

  貯蓄 投資信託 株式投資
元本 保証される 保証されない 保証されない
運用 銀行 証券会社、投信会社 投資家本人
運用先 企業等への貸し出し 多数の企業の株券 少数の企業の株券
運用者 銀行の担当者 ファンドマネージャー 投資家本人
手数料 基本的にゼロ 販売手数料、信託報酬 売買手数料、口座管理費
最低投資金額 1円 10000円 銘柄による
リスク(損失) ほとんどなし アリ かなりアリ
リターン(儲け) 少ない 多い かなり多い

 

 というわけで、リターンを大きくすれば、それに応じてリスクも大きくなるということです。またそのリスクやリターンの成否について、誰が責任を負うかといえば、株式投資の場合は基本的に自分一人であると言えます。

 というわけで堅実性を求める日本人の国民性としては通常の貯蓄を行う人が多いわけですが、それでも多少なりとも余剰資金があれば、それを投資信託や株式投資に回そうという考えも間違いではないと思います。

 その際、自分の企業選別の目に自信があり、ある程度経済や株価の動きに精通したと自分で判断できた人は「株式投資」を選択し、そこまで勉強している時間がないとか、銘柄選択に自信が無い人は投資信託を選択するという傾向があるのかもしれません。