高額療養費

 通常の医療費は、早期退職直後は、ストレス軽減によりそれ以前より減ると思われます。しかし加齢に伴って医療費が増えていくのは間違いないと思われます。

 ただ日本の医療保険制度は3割負担から1割り負担まで、徐々にその負担が減少していきますから、ここではその話題は取り上げません。取り上げるのは高額療養費制度についてです。

 私は、自分の早期退職のきっかけになった妻の長期入院生活が始まるまで、この制度のことをまったく知りませんでした。よく医療保険のPRに、何とかかんとかの病気になったら、入院や手術の代金で○十万とか○百万必要と書かれて、不安を煽っています。

 実際問題貯金が100万しかないような家庭で、そういった費用が必要になったらどうなるんだと思いましたが、先端医療を除いて、手術で家計が破綻したと言う話はそれほど多くないと思います。それはこの制度のがあるからだということです。

 妻が最初に入院したのは自宅近くの民間病院ですが、1週間弱の入院で20万近い請求書が来ました。その後一度転院し、今度は大学病院で長期入院生活に入ったのですが、最初の月に請求された金額がなんと80万です。

 つまりたかだか一ヶ月の入院で約100万の支出があったということで、私は定期預金を取り崩しました。

 病気の種類がガンに由来するものであったため、どちらかというと高度な医療処置が施された関係もあったのだと思いますが、それにしてもこんな金額がこれからもずっと続くのかとさすがに心配になりました。

 (しかし実際には、以下を読めばお分かりになると思いますが、後に大部分が返金されます)

 そこで職場で配布された福祉関係の小冊子をきちんと読んでみると、現在の保険制度の素晴らしさが少し分かりました。簡単に言えば、患者側が一ヶ月に支払う医療費には上限があると言うことで、これが高額療養費という名前であることが分かりました。

 ではこの高額療養費という制度はどんな制度なのか、また医療費の上限とはどのくらいの額なのか。それを以下にまとめておきます。自分自身が今後何か問題があったとき参考になる事だと思っています。

 まず高額療養費が適用できる項目ですが、基本的には窓口で支払う医療費となります。ただし個室を自分で希望したとか(病院側が個室を選定した場合は、医療費扱いです)、食事療養費、さらに病院から支給されるパジャマ等を使用する場合は、この金額に含めません。

 当然ながら支払限度額は、収入が多ければ大きくなり、収入が少なければ小さな額になります。ただしその区分は5段階に変更になりました。

 通常のサラリーマンの場合は、この上限額が80100円+αとなります。

 計算式は以下の通りです。実際にはその月に請求された医療費総額が少ない場合と大きい場合で金額が若干変わります。

80100+(医療費-267000)×1%

 例えばその月の医療費請求額が保険扱いの高度先端医療で100万かかったとすると、

80100+(1000000-267000)×0.01=80100+7330=87430円となり、簡単に言えばだいたい上限が月々9万ぐらいになると言うことです。

 しかし年金生活者の場合は、更にもう少し金額が下がって57600円という額になります。