父子家庭生活

 4月になり新年度が始まりました。息子は中学3年になり、受験期に突入です。勉強をするしないはともかく、影で後押しをしたり励ましたりする存在が欠けてしまいました。

 これまでの2年近い入院で、父子家庭への準備は整っていたとも言えますが、家の中で連れの笑い声が聞こえないのは何とも寂しいものです。しかし寂しい寂しいと言っているだけでは生活できません。心の中に空洞を抱えながら仕事に出かける日々が続きました。

 それまでと違い見舞いに行く必要がなくなったので、ある意味時間的余裕が出来るはずでしたが、実際に生活を初めてみるとやたら忙しい。

 これまでは見舞いの合間に仕事を早退していたので、そのぶんむしろ時間的余裕があったのですが、フルタイム勤務に戻った結果、帰宅時間が遅くなり、結果的にかえって忙しくなったということに遅まきながら気がつきました。

 そのことに気が付いたので、フルタイムで働きつつも、なるべく勤務時間終了後すぐに職場を出て、帰る途中でスーパーにより食材や総菜の購入。家に戻りすぐに夕食の支度をして、息子の話に付き合いながら、テレビを見て食事という生活になりました。

 4月当初は緊張感というか気負いもあって順調に家事もこなしていましたが、やがて疲れがたまってくると、食器洗いや洗濯はまとめて一挙に、という日が増えてきます。食事も作ると言うよりインスタント食品や総菜の購入が増えてきました。

 一方、仕事の方はそんな家庭生活の事情にお構いなく、50代ともなればどんどん新しい仕事をしていかなければなりません。

 新しい仕事には当然複雑な人間関係のしがらみがついて回り、徐々にストレスがたまります。時間的制約に加え、精神的ストレスが加わり、さらにもともと体力があったわけでもないので、徐々にがんばろう、という気力が萎えてきました。

 そして、そんな生活を続けることによって、万が一自分自身の寿命が縮まるようなことになったら、私はともかく後に残された息子はどうなるのかと考え、これは大変なことになったと真剣に考え始めました。

 私自身の父親の過労による早逝も気になっていましたし、第一体をこわしてから早期退職の準備を始めたのでは間に合いません。

 一方50代後半で突然早期退職をして、その後の家計がいったいどうなるのか?見通しがまったく見えないことも、すぐに早期退職を決断できない大きな要因です。