私の早期退職の経緯

 私の場合は、父親が過労によって、突然心臓の病気で50代前半で急逝したことが一つの精神的なトラウマになっていたような気がします。この時の私の年齢は20代でした。

 「これからというときに仕事で命を失う人生なんてなんの意味があるんだ」と考えた結果、自分は仕事のしすぎで体調を悪くするなんてことは絶対に嫌だなと思うようになっていました。

 さらに私自身の健康問題がこれに拍車を掛けます。私は3歳ぐらいで、当時としては珍しい小児喘息を発症し、中学校時代まで医者通いが絶えませんでした。

 さらに中学校以降は、やはりアレルギーの一種であるアトピー性皮膚炎に悩まされるようになりました。

 幸いにも喘息は高校時代ぐらいを境にして少しずつ収まりましたが、代わって表れたアトピー性皮膚炎には40代前半まで悩まされました。

 一方30代後半からは、仕事の忙しさとストレスで暴飲暴食が祟り、体重増加、肝機能値の悪化、さらに高血圧症状を示すようになり、これはもしかすると体力的に仕事は60歳まではもたないかもしれないな、と思っていました。

 つまり私の場合は、父親の死亡と自身の健康問題から、40代で早期退職を意識していたという事です。

 それでも結婚を機に、家庭生活が安定したら精神的にも少し余裕が出て、これなら何とか定年までこぎつけられるかもと思ったのが40代半ば。

 当然ながら、40代後半になると、「このまま無事定年まで勤め上げれば、なにがしかのまとまった退職金も手に入り、ローンの残金もそれで支払える」という見通しが見えてきました。

 それでも自分自身の健康について全面的な信頼を寄せることは出来ず、一方で50歳を越したあたりから、体力が落ちてくるのがはっきりし、もう片方で仕事の責任が重くなり、「やっぱり早期退職を意識せざるを得ないな」と思っていました。

 つまりその時点での体力ならなんとか60歳の定年まで持ちこたえられそうだけど、加齢による体力低下まで考慮すると、やはり早期退職せざるを得ないのではという不安を感じていたという事です。

 ただし感じていた程度で、経済的な問題を考えたら、出来るだけ長く務めたほうが良いという事は明白でしたし、人より早く退職することへの罪悪感もありました。